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スマホの画面に視線を落とすと「 朱璃 」と表示されていた。
「おい、ウソだろ!」
死んだはずの朱璃からの電話、思わず画面をタップする。
すると
「ねえ、来ちゃった。ドア開けてくれる?」
「ウソだ」
「早くぅ」
「ウソだ」
ピンーポン、ピンーポン、
「やめろっ、ウソだ」
美樹の言葉を思い出す。
『朱璃。恨んでいるよね』
ピンーポン、ピンーポン、
「ねえ、私のこと愛しているって言っていたでしょう。一緒に行こうよ」
スマホの画面には、にっこり笑った朱璃。
恐ろしくなってスマホを玄関ドアに叩き付けた。
カシャーンと音がし、スマホの画面は蜘蛛の巣状にひび割れ黒くなる。
はぁはぁはぁはぁ
自分の心臓の鼓動と荒い息が耳につく。
まさかと思い、恐る恐る玄関のドアスコープから覗くと誰もいなかった。
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