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イライラしながら画面を見ると美樹からだった。
スマホをスワイプすると泣き顔の美樹が映る。
「朱璃、死んじゃった。どうしよう。きっと、私達の事恨んでいるよね」
「死んだ? ウソだろ……」
俺は先週会った朱璃の事を思い出す。食事の時にクスクスと誘うように笑う朱璃。ホテルの部屋でキスをした時の艶を含んだ瞳。
「で、朱璃が、遺書を残していたらしいの。私、朱璃からあなたを奪った事になるでしょう。きっと、恨まれているよね。亡くなり方が亡くなり方だからお葬式はしないって話だけれども、噂されそうで不安だわ」
遺書……。
そんなものがあるなんて……。
ショックで言葉を失う。
朱璃を裏切って美樹と結婚し、その後も流されるまま関係を続けていた。
美樹の事よりも俺に対しての恨みつらみが多そうだ。どこからともなく、この話が美樹の耳に入る可能性だってある。
「なんだって、こんなことになったんだ」
そんな、言葉しか出なかった。
「朱璃、恨んでいるよね。きっと……」
と、涙声で呟くスマホの中の美樹を見ると後ろのカーテンがユラユラと揺れている。
!!!
「美樹! 後ろっ! 」
俺は叫んだ。
プッと通話が切れた。
スマホの画面が暗くなる。
そして、スマホが振動を始めた。
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