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Notice
それからも、そんなに変わり映えしない毎日が続いた。
変わったことといえば、「お付き合いしてください」と言われることが増えたこと。
申し訳ありませんと断るけれど、そんな変化を奈津は見逃さなかった。
「最近、おモテになりますね、葵さん、なにか秘訣は?」
「え?秘訣ってそんな…なんだろうね?」
そんな私を上から下までじっくりと観察する。
「特に変わったところはないんだよね?スタイルがよくなったとか、メイクを変えたとか」
「だって何も変わってないもの。あ、もしかすると…」
「え?なになに?」
「頭の中が変わったのかも?」
「へ?」
「少し前までだとね、彼に依存してたかな?結婚とかにも。こうあるべき、ということも考えなくなったかも?」
「ほぉ!」
「自分の意思で自分でちゃんと仕事して生きていけたらいいなと思ってる。好きなこともやりたいし。こう、なんていうか、1人でも不安じゃないぞ!と思うと、誰にも媚びたりしなくていいしね」
「それはすごい!私は素敵な旦那さんを見つけて幸せにして欲しいなぁ」
「それちょっと違うかもよ」
「違う?」
「素敵な旦那さんを逃したくないばかりに無理をするようになったら、結局幸せにはなれないでしょ?」
「まぁ、言わんとしてることはわかる。でもさ、あの櫂さんだっけ?あの人とかいいと思うけど?同じ屋根の下なんでしょ?」
「櫂?いい男だしいい人だけど、そんな関係になりそうもないかな?少なくとも今の状態ではね」
「どんな状態だったらいいの?」
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