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同窓会での再会
「葵!久しぶり!元気にしてた?」
同窓会の受付には、中学のころ仲良しだった友達がいた。
「してたしてた、舞花も友梨も変わらないね」
「葵も変わらない、ってかいや、少し丸くなった?」
「あ、やっぱり?気にしてるのに、ダイエットしても痩せないのよ」
中学の頃より5㎏太った。
太った自覚はあって、ダイエットしようと思ってあれこれやってみたけど、どれもたいして効果はなく、今はこれ以上増えないことに注力している。
「そんな言うほどわからないから、平気だよ。あ、そうだ!来てるよ、アイツ!ほら、あっちの輪の真ん中!」
友梨が指さした先には、同級生に囲まれて中心になって騒いでいる男がいた。
明るい髪色にピアスが見える。
どっかのホストみたいだ、と思った。
那珂川櫂。
幼稚園の頃からの幼馴染で、中学どころか高校まで一緒だった。
「かーい!ちょっと!」
友梨が櫂を呼ぶ。
「ちょ、いいって、なんで呼ぶのよ」
私は慌てて友梨を止める。
「え?なんでよ、会いたかったんじゃないの?」
「会いたくなんかない、あんなヤツ」
思い出した、あのこと。
勇気を振り絞っての告白を、アイツは!
櫂は、鼻で笑って冗談にして冷たく私をふった。
それは私にとっては初恋で、初めての告白で、初めての失恋だった。
やっとの思いで告白したのに、こっぴどくふられた、クラスメイトの前で。
中学1年の夏休みの登校日のことだった。
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