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「あ、こっちに気づいたみたい、来るよ」
ほれほれと、脇腹をつつく友梨。
「もう、なんだかなぁ…」
ため息が出る。
感動の再会なんてあるわけがない、だいたいのセリフは予想がつく。
「ようっ!これはこれは葵ちゃんではありませんか!あれ?ちょい太った?」
ほら来た。
このデリカシーのないセリフ、予想はしてたけど。
「私が太ろうが痩せようが、アンタには関係ないでしょ!」
「いやいや、ちょっと待ってよ、関係あるよ、大ありでしょ?もしかしてさ、僕が葵ちゃんをフッてしまったからさ、まだ傷が癒えなくてやけ食いとかしてるのかと思って」
「はぁ?!なんでそうなるわけ?バッカじゃないの?」
バン!と肩を押してやろうとして上げた左腕を掴まれた。
「おっと!危ないなぁ、昔っから手が早いんだから。だから彼氏ができないんだよ」
「ほっといて!」
「あれ?」
櫂が掴んだ左手を見る。
小さなルビーがついた中指のリングに気づいた。
「ん?これ、自分で買ったの?ご褒美!とか言ってさ」
「んなわけないでしょ!」
思いっきり櫂の手を振り払う。
「こらこら、またもめてるの?あのね、櫂くん、葵にはちゃんと彼氏いるよ、それも同棲中!ゴールイン間近!」
友梨が割って入った。
「マジで?」
驚いた顔の櫂。
「なんでそんなに驚くの、関係ないでしょ」
「かーいくーん、ねぇ、こっち来て話そうよ!」
遠くから櫂を呼んでる声がした。
「ほら、さっさと行けば!」
櫂の背中をくるっと回して、声のするグループへと押しやった。
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