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「相変わらず、口が悪いね、アイツ」
ジュースの入ったグラスを持って友梨と舞花が寄ってきた。
「いまに始まったことじゃないけどね、昔よりなんか派手になったみたいだし」
離れたところのグループで騒いでいる櫂を見た。
「噂、あるよね?櫂の。あやしいお付き合いしてるとかなんとか」
ちょいちょいと葵と舞花を呼ぶ友梨。
「なんか…年上の女の人と付き合ってるっぽいんだけど。それもすごく年上で、複数で高いお小遣いをもらってるとかなんとか」
小声で話す友梨。
「それって、ホストとか、そういうこと?枕営業みたいな?」
「そんなお店で働いてるんじゃなくて、会員制のデートクラブみたいなとこらしいよ」
「ふーん、デートクラブねぇ、楽してヒモみたいな生活してるってことかな?」
「わからないけどね、噂よ、噂」
振り返って櫂を見た。
目があってウィンクされた。
思いっきり、あっかんべーをしてやった。
「ね、そろそろ考えてるの?結婚とかさ」
舞花が私の指輪を見て言う。
「彼氏、いくつだっけ?仕事ってなに?」
「同い年、電気屋さんの販売員、一応副支店長だけど…」
「じゃあ、結婚しても安定してるんじゃない?」
正社員だし、結婚しても大丈夫な気がする、するけど。
「プロポーズは?まだなの?」
「もう待ってないで葵からしちゃいなよ」
「え?私から?」
「そうそう!女からプロポーズしてもいいじゃない?そうでなきゃ、そうなるように仕向けるのよ、こんなふうに」
そう言いながら、左手薬指に光るダイヤの指輪を見せてきた。
「わぁ!舞花、綺麗!いつだっけ?結婚式」
友梨が舞花の指輪をうらやましそうに見る。
キラキラ光る指輪は愛の誓いの証で、それだけで二割り増しで輝いて見えた。
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