悲しくてむごい

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悲しくてむごい

そしてなんとなく、部屋の中を見まわしたわ。 そしたら ――― 、あ。 そこにはあの人が立っていたの。あの頃はいつもおしゃれだった今目の前にいるあの人は埃にかぶっていて髪の毛もぼさぼさ、変な白いTシャツを着ているの。 私はこんなに近くであの人を見たことがないし顔の表情まで知らなかったけど絶対にあの人だったの。 彼を見たとき私の心には、お姉ちゃんがよく読んでいた少女漫画のドキドキとかキュンキュンなんていう感情は生まれなかった。 どちらかというと恐怖に近いもの。 でも恐怖とも少し違くて 悲しくてむごい…感じたことのないような思いが心にあったの。大きな石のような重たくてキュッと締め付けるような…そんな感じのもの。
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