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CUTE EARS (完)
そしておじいさんが「そうだ、こいつが今着ているTシャツと一緒だね、お嬢さん。さあ、もう埃っぽいから外に出ようか」そう言っておじいさんはカーテンをくぐって先に外に出た。
おじいさんは私のことを人間みたいに「お嬢さん」って呼んでくれるの。
あの人…もう人じゃないけど、彼の着ている少し縒れたTシャツにはおじいさんが言った通り私のイラストが印刷されていたわ。
私じゃないけどみんな同じような顔の生き物のイラスト。
大きくてくりっくりな瞳とぽてっとした鼻、そしてみんなよりも多くの音を拾うことができる可愛くて大きな、
長い耳。
そのイラストの上には“CUTE EARS”って書いてあった。
なんてダサいTシャツ何だろう。
私はなんだかおかしくてふふって笑った。もちろん「ふふっ」なんて声は出せないんけどね。
そしておじいさんのところに行くために真っ白でふわふわした4本足で埃っぽい部屋から廊下に出た。
(完)
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