2.溺愛宣言

8/14
前へ
/116ページ
次へ
「柏木さんが全部やってるなら、私要らないじゃないですか。これなら、1人でやった方がいいんじゃないですか?」 そう言われるまでは、この方がいいと思っていたけれど、やりすぎてしまったらしい......。 2人目の後輩は、企画は最後まで作ったけれど、結局すぐに辞めてしまった。 「紗知先輩......?」 昔を思い出していた私を、夏樹くんが現実に引き戻す。私に後輩指導は向いていない。夏樹くんは、いい子だし学ぶ姿勢もあった。 今日1日やっただけで色んなことによく気づくけれど、すぐ嫌になってしまうに決まっている。 「どうせーー、みんな居なくなるんだから......」 だったら、私なんかの下につかない方がいい。そう思っても、もう決まってしまったことはどうにも出来ない......。 私は半分以上入っているカクテルを、グイッと一気に傾けて、飲み干した。 私が飲み終わったグラスを勢いよく机に置いた事で、春奈が私の前にある空のグラスを見た。状況に気づいたらしい春奈は、焦ったように止めようとして、間に合わなかったーー。 「あっ、沙知!もぅ......知らないわよ」 その声を最後に、私は重くなる瞼に逆らえず、目を閉じた。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

432人が本棚に入れています
本棚に追加