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紅茶は好きなので、その紅茶のお酒と聞いて、私はテンションが上がる。
でも、メニューに無いものを飲んでしまっていいのだろうかーー。そんな私の不安を瀬田さんは見抜いたように言った。
「いつもの個室で出しているのはメニューにあるものだけなんだけど、ここのカウンターでは、普段からメニューに無いものも出しているんだよ。だから、気にしないで飲んでみて?」
「ーーいただきます」
それなら、と私はグラスを傾けて1口飲んでみた。お酒と感じないほど、紅茶の味が強い。それに、少し甘めになっていて飲みやすい。
「これ!美味しいです」
これなら、何杯でも飲めそうだ。
いつも飲んでいるカクテルも嫌いじゃないけれど、これを1度飲んでしまったら、他のものには勝てない。
グイッとまた飲もうと、グラスを傾ける。
「あ、さっちゃんちょっとストップ!飲みやすいけど、お酒入ってるからね、そんな飲んじゃダメだよ?さっちゃん、お酒弱かったよね?」
「......そうでした、気をつけます」
調子に乗って飲もうとしたけれど、中身はお酒だ。
今日は一人で来ているし、潰れる訳にはいかない。春奈達にも、潰れないでねって言われているし、調節して飲まないとーー、瀬田さんが止めてくれて助かった。
飲みかけたグラスを置いて、いつの間にか出されていたおつまみを摘む。
「それで、さっちゃん、今日はどうしたの?」
ひと段落ついたところで、瀬田さんに言われた。
ーー鋭い。まあ、1人で飲みに来るなんて、なんかあったとしか思わないよね。
「特に何かあったわけじゃないんですけど、ちょっと寂しさを紛らわせようと思いまして......」
「なに、さっちゃん寂しいことがあったの?」
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