2.溺愛宣言

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カランコロン~ 中に入ると、身長175センチ位のお兄さんが出迎えてくれた。既に顔見知りになっていて、前に話した時に、1つ年上だと知ってから結構話すようになった。彼の名前は、瀬田 遥斗(せた はると)私は瀬田さんと呼んでいる。 「いらっしゃいませ」 「こんばんわ~、みんな来てます?」 「さっちゃん、いらっしゃい!来てるよ」 瀬田さんは、私の事をさっちゃんと呼ぶ。他にもお客さん居るのに、名前まで覚えられるなんて凄いことだ。そう思いながら、みんながいる席を案内してもらう。 「今日は見慣れない顔が居たね?」 「今日入社してきた新人なんです......」 私は苦笑いしながら言った。瀬田さんも、まさか入社初日だとは思わなかったのだろうーー。 「なるほど......、ここです」 一瞬、キリッとした顔になったけれど、直ぐにいつもの優しい顔に戻った。ーー見間違い? そう思ったけれど、気にしないことにしておく。考えても分からないしね。 「ありがとうございます」 「ごゆっくりどうぞ~」 瀬田さんはにこやかにその場を離れた。案内された席は個室の座敷で、私はこの店のまったりとした雰囲気が気に入っている。 「お待たせ~」 中に入ると、ちょうど食べ物が揃った所だった。春奈と胡桃が隣同士で座っているので、私の席は必然的に夏樹くんの隣になる。 「お疲れ様です。紗知先輩は何にしますか?」 そう言いながら、メニューを渡してくれた夏樹くん。ーー意外と気が利く......。 「んー、カシスオレンジで」 私はビールが苦手なので、甘いものを頼む。ちなみに、春奈と夏樹くんはビールだけど、私と同じようにビールが苦手な胡桃はレモンサワーだ。 「分かりました。ーーすいませーん」 そして、あっという間に店員さんを呼んだ夏樹くんが、注文を終えていた。 「あ、ありがとう......」 「さ、紗知先輩に......ありがとうって言われたっ!!」 「......」 何故か変なところで感激している夏樹くんに、私たちは誰もついていけていない。
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