2.溺愛宣言

4/14
前へ
/116ページ
次へ
夏樹くんの、ぶっ飛んだ一面に春奈と胡桃は驚いて、お互いに顔を見合わせていた。 私は昼間の1件があったから、そこまで驚かないけど......。 「へい、おまちぃ!」 た、たすかったぁ......、シーンとした空気で、なんて声を出せばいいのか迷っていた時に、ちょうど店員さんが私の頼んだ飲み物を持ってきた。ナイスタイミング! 「さ、さぁ、食べようか!」 気を取り直して、春奈が言った。 「そうですね!食べましょう!」 胡桃もそんな空気を吹き飛ばすかのように明るく言う。 「はい、それじゃあ、お疲れ様~そして、夏樹くんの歓迎会ーーということで、かんぱーい!」 一気に空気が戻り、私も明るくグラスを掲げて、飲み会がスタートした。それぞれがおつまみをつまみながら、お酒を片手に話し始める。 「ねぇ、黒瀬くんってモテるでしょ?」 春奈が突然、ぶっ込んだ質問を夏樹くんにする。 「えっ?まぁ......そうですね......」 「嬉しくないんですか?」 「好きな人から好かれるのは嬉しいですけど、どうでもいい人から好かれてもちょっと......」 春奈も胡桃も、興味津々に聞いているけど、何故か夏樹くんの視線は私に向いている。 「な、なに?夏樹くん......?」 「なんでもないですよ~」 サラッと流した夏樹くんは、そのまま2杯目を注文している。 「そんなことより、北見さん!仕事中の紗知先輩ってどんな感じなんですか?」 そんなことよりって、ーー夏樹くんはいきなり何を言い出すのだ......。 「紗知はねーー」 そして、春奈は何故かノリノリで答え始めた。 「自分より、周りを優先するの。それで、実績も着いてくるから凄いのよね。 真似したくても、真似出来ない感じ! ......ちょっと抜けてる所もあるけど、頼れるし、仕事してる時の紗知はカッコイイよ」 「ちょっ......!春奈......!」 慌てて止めようとしても、熱弁している春奈には、聞こえていないらしい。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

433人が本棚に入れています
本棚に追加