2.溺愛宣言

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【夏樹side】 お酒の力で、思わず紗知先輩の好きなところを語ってしまった。けして、酔っているからーーではない......。 名前だって、本当は苗字で呼ぶつもりだった。なのに、顔を見た瞬間抑えが効かなくなり、名前で呼んでいた。 “紗知”ーー本当は、そう呼びたかったけれど、いきなりそんな失礼になる事はしない......だから、紗知先輩と呼ぶようにしたのだ。 「えっ......紗知先輩?」 俺の指導係にはなりたくなかったらしい紗知先輩。 何があったのか、俺にはよくわからなかったけれど、飲み切ったグラスを置いたあと、紗知先輩の身体がふらっと傾いた。 咄嗟に支えて、倒れるのを防ぐ。だらんとする身体に、一瞬何が起きたのか分からなかった。 「ごめんね、黒瀬くん。沙知、お酒弱いから......寝かせといてやって」 北見さんの言葉を聞いて、初めて紗知先輩が寝てしまっている事に気づいた。 突然だから、倒れたのかと思ったーー。 寝ているだけと知り、安心した俺は、紗知先輩が痛くならないようにそっと横にし、俺の足が枕になる様に寝かせる。 「紗知先輩、お酒弱いですもんね......、何杯飲んでたんですか?」 それぞれが自分で注文していたため、他の人が何杯飲んでるかなんて、気にしてなかった。 俺は、紗知先輩が頼む時に一緒に頼んでいたから覚えているけれどーー。 「たしか、4杯だったかと...…」 俺がそう言うと、北見さんと斉藤さんはありえないと言うように顔を合わせていた。 「ごめん、止めるの忘れてたわ......。 いつもは2杯までで、自分で辞めてるから油断してた」 「えっ?2杯ですか......?」 北見さんは申し訳なさそうに言ったけど、俺としては、そのあとの言葉にビックリだ。 既に8杯のビールやら強いお酒やらを飲んでいる俺には、2杯で酔ってしまうということに驚いた。
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