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「うん、3杯目になるとフラフラしてて帰れなくなるから、いつも2杯で終わらせるようにしてるの」
どうやら、フラフラで帰れなくなったことがあるらしいーー。そこまで弱いとは......。
ちらっと顔を下げて、気持ちよさそうに寝ている紗知先輩の横顔を見る。
お酒のせいか真っ赤に染まっている顔に、横になったことで少し広がったふわふわの髪。
見つめていると、無性に触ってみたいと思ってしまった。自然と手が伸びて、気づいたら俺は紗知先輩の頭を撫でていた。
起こしてしまわないように、ゆっくりと丁寧にーー。
気持ちよさそうな紗知の顔に自然と笑みが零れる。
「ーー沙知も寝ちゃったし、今日はこの辺で終わりにしようか」
その声に、ハッと現実に戻される。
顔を上げると北見さんが、ニヤニヤと俺を見ていた。そのなんとも雰囲気に、俺は気まずくなる。
「え、でも......」
紗知先輩はーー?当分起きなそうだけど......。
さすがに、このままにしておく訳にはいかない。
「紗知先輩は、黒瀬くんが責任をもって送って行って下さいね!」
「えっ、ちょっ......」
「私はお会計してくるから」
北見さんと斉藤さんの連携で、あっという間に話が進む。
俺が送っていけるのは嬉しいけれど、こんなに可愛い紗知先輩と2人きりにされて、理性が保てるのか心配だ。
俺が戸惑っている間に北見さんが、サッと伝票を取り上げた。ぱっと帰り支度を済ませた2人は、さっさと席を立っていた。
「俺も払います!」
「いいからいいから、今日は歓迎会って言ったでしょ?」
「いや、でも......」
1番飲んだの俺だしーー。
「いいから、素直に奢られときなさい」
北見さんは意外と男前だった......、一切譲る気はないらしい。
「ーーありがとうございます」
歓迎会と言ってくれているのだから、ここは素直に奢ってもらおう。
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