2.溺愛宣言

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「その代わり、沙知のことよろしくね。私たち先に帰るから、後の2人はゆっくりどうぞ~」 そう言って、北見さんと斉藤さんはウインクをしてからお会計をしに行った。 あぁ、もう、どうしてくれるんだーー。 無防備に寝ている紗知先輩に手を出すつもりはもちろんないけれど、余計なお世話だと2人に言いたい。俺が言うのもなんだけど、今日が初対面の男を好きな女性と2人きりにするのはどうかと思う。 さっき話したことで、俺を信頼して、俺が紗知先輩を狙っているのを知ってるからこそ2人にしてくれたのだと思うけどーー、さすがに、急すぎる。 「ふぅ......、紗知先輩?」 いつまでも、ここにいる訳にも行かず、帰るため、起こそうと肩を揺すって声をかける。 「ん......、スゥー......」 「起きない、か」 しょうがない。俺はそっと紗知先輩の頭を退けて、壁に掛けていたスーツのジャケットを紗知先輩にかけてから、横抱きにする。 「軽い......」 小柄なせいか、持ち上げた感じがすごく軽かった。 片腕に俺と紗知先輩のカバンを引っ掛けて、個室を出る。すると、店員さんに声を掛けられた。 「あれ?さっちゃん、潰れちゃったの?」 紗知先輩をさっちゃんと呼ぶその声を聞き、俺は眉間にシワが寄る。 馴れ馴れしいーー。思いっきり顔に出てしまった。 「ははっ、そんな怖い顔しなくても......、俺この店で働いてる瀬田遥斗です。さっちゃんはよく来てくれてるから仲良くなっただけだよ。」 そう言われても、信用出来るはずがない。あだ名で呼ぶような関係だ。 年上の余裕なオーラも出しているこの男に、俺はムカついていた。 「帰るんで、いいですか?」 いつもより、数段低い声が出る。そのまま通り過ぎようとした時、聞き捨てならない言葉が聞こえた。 「仕事なければ俺が送っていくのに」 は?そんなのさせるわけがない。俺は敵意むき出しのまま瀬田という男を睨みつける。
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