2.溺愛宣言

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「彼女さん、可愛いですね」 そんな俺の様子をバックミラー越しに見ていたらしい運転手さん。 “彼女さん”そう言われたことに、嬉しくなる。まだ彼女ではないけれど、俺は否定しない。 「はい、もう手放せないです」 もちろん、手放すつもりなんて全くない。 タクシーに乗ってから15分ほど経った所で、家の前に着いた。築5年で2LDKと比較的新しいの賃貸アパート。そこの201号室が俺の部屋だ。 「ありがとうございました」 サッと支払いを済ませる。 「お幸せに~」 そう言って、俺たちを送り出した運転手さん。いい人だーー。 再び紗知先輩を抱えあげて、部屋の中に入った。リビングには行かず、手前にある右側の扉を開ける。 ダブルサイズの大きいベット以外は何も置いていない寝室だ。俺は、紗知先輩をベットの上にそっと下ろした。そのままでは苦しそうなので、ブラウスのボタンを3つ外しておく。 「ん......」 少し身じろぎをしながら、トロンとした目が開いた。 「紗知先輩?大丈夫ですか?」 「ん、......ぉ水......」 「水ですか?ちょっと待っててくださいね」 どうやら喉がかわいているらしい。 でも、この感じだと、酔いは冷めてなさそうだな。リビングに行って、コップに水を入れて寝室に戻る。 「紗知先輩、水持ってきましたよ?起きれます?」 「ーーぁりがと......」 そう言いながらも、力が入らないらしく、起き上がる気配がない。 「起こしますよ?」 とりあえず、一声かけてから、肩の所に手を入れてゆっくり起き上がらせた。口元にコップを持っていくと、両手でコップを持ちながら、ゆっくりと水を飲み始めた。 ーー可愛すぎるんだけどっ! こんな間近で、しかも俺が支えながらーー、ここは俺の部屋でベットの上。抑えきれない興奮と理性を必死につなぎ止めていた。
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