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3.可愛い天使
朝日がカーテンの隙間から顔に当たる。
「ふわぁぁ......」
眩しさに耐えながらゆっくりと目を開けると、いつもと景色が違った。見慣れている私の部屋ではないーー。
「えっ......?」
そして今居るのは、ふかふかのダブルサイズのベットの上。私の部屋の、ふわふわした雰囲気とは真逆の、モノクロの部屋だった。
「ーーどこ?」
頭がついていかない。
昨日は残業して、そのあと飲みに行って......どうしたんだっけ?途中から記憶が無い。
必死に頭をフル回転させていると、ベットサイドからガタッと物音がした。
ビクッとしながらも、恐る恐る音のした方を見てみる。
「ふぁぁ......、起きた?おはようございます......」
眠そうな顔をゆっくりと上げたのは、なんと夏樹くんだった。
「おはよう......って、あ、えっ?ちょ......どう!?」
えっ、ちょっと待って......。一気にパニックになり、言葉が出てこない。
自分で、何を言っているのか分からなかった。
「紗知先輩......?落ち着いて?」
「えっ、無理、なんで、どうして......」
夏樹くんは、どうしてそんなに落ち着いて居られるのだ。
そして、いつの間にかベットの上に座っている。
もしかして、ずっと床に座って寝てたのかな?私がベット使っちゃってたしーー、なぜか私は、そんな事が気になった。でも、そうだとしたら、申し訳ない事をした。
「紗知先輩、昨日のこと覚えてます?」
夏樹くんは、考え込んでいた私を呼び戻す。
「昨日は、飲みに行って......そのあと......は、わかんない」
夏樹くんと春奈が、なにやら盛り上がっていたのは覚えている。
「紗知先輩、酔って急に寝ちゃったんですよ。
送っていこうと思ったんですけど、家分からなかったし、起きなかったので、俺の家に連れてきちゃいました」
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