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「だから、俺は紗知先輩の可愛すぎる寝顔は見たけど、ほかは見てません。襲ってもいないので信じてください!
甘えてくる紗知先輩が可愛すぎて、悶絶しましたけど、理性はちゃんと捕まえておいたので!」
さっきよりも、言葉が増えている。
それに、理性を捕まえておいたって......自信満々の顔で言われてもーー、ん......?
“甘えてくる”?
私は夏樹くんに甘えた記憶なんてない。
「な、夏樹くん、私......なんかしちゃった?」
普段の私は甘えるなんて事しない......というより、性格上ーー出来ない。なのに、私が甘えた?
「そんな、嫌なことなんかしてないですよ!俺は嬉しかったんで!
ーー俺のシャツ掴んで上目遣いで行かないでって言ったり、ぎゅーしてって言ってきてしまいには安心するって言ったり......って、紗知先輩?どうしたんですか?」
夏樹くんは、私の記憶に無いことを次々と教えてくれた。興奮している夏樹くんは止まる気配がない。
ーー恥ずかしすぎる。
念を押すようだけれど、普段の私ならそんなことはしない。鏡を見なくても、今の顔が真っ赤なのは私にも分かった。きっと、耳まで赤くなっているだろう。
「紗知先輩?......顔見せてください」
赤くなった顔を見られないように俯いていたのに、覗き込まれた。
「む、無理......っ!」
こんな顔見せられるわけがない。ぷいっと顔を背ける。
なのに、夏樹くんはそんな私を無視して、クイッと私の顎を上げた。逆らえない動きに、私は顔を上げてしまう。
そして、私の顔を見た夏樹くんは、固まったーー。
「紗知先輩......キスしていいですか?」
「......は?」
どうしてそうなった?
真剣な真顔で言われ、言われたことを理解するのに時間のかかり、反応が遅れた。
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