3.可愛い天使

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「だから、俺は紗知先輩の可愛すぎる寝顔は見たけど、ほかは見てません。襲ってもいないので信じてください! 甘えてくる紗知先輩が可愛すぎて、悶絶しましたけど、理性はちゃんと捕まえておいたので!」 さっきよりも、言葉が増えている。 それに、理性を捕まえておいたって......自信満々の顔で言われてもーー、ん......? “甘えてくる”? 私は夏樹くんに甘えた記憶なんてない。 「な、夏樹くん、私......なんかしちゃった?」 普段の私は甘えるなんて事しない......というより、性格上ーー出来ない。なのに、私が甘えた? 「そんな、嫌なことなんかしてないですよ!俺は嬉しかったんで! ーー俺のシャツ掴んで上目遣いで行かないでって言ったり、ぎゅーしてって言ってきてしまいには安心するって言ったり......って、紗知先輩?どうしたんですか?」 夏樹くんは、私の記憶に無いことを次々と教えてくれた。興奮している夏樹くんは止まる気配がない。 ーー恥ずかしすぎる。 念を押すようだけれど、普段の私ならそんなことはしない。鏡を見なくても、今の顔が真っ赤なのは私にも分かった。きっと、耳まで赤くなっているだろう。 「紗知先輩?......顔見せてください」 赤くなった顔を見られないように俯いていたのに、覗き込まれた。 「む、無理......っ!」 こんな顔見せられるわけがない。ぷいっと顔を背ける。 なのに、夏樹くんはそんな私を無視して、クイッと私の顎を上げた。逆らえない動きに、私は顔を上げてしまう。 そして、私の顔を見た夏樹くんは、固まったーー。 「紗知先輩......キスしていいですか?」 「......は?」 どうしてそうなった? 真剣な真顔で言われ、言われたことを理解するのに時間のかかり、反応が遅れた。
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