3.可愛い天使

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「だ、ダメに決まってるでしょ!」 付き合ってもいない人とキスできるはずがない。 だけど、じっと見つめてくる瞳にドキドキする。 「あ、あの......」 「ん?」 「......」 耐えきれなくなって、声を出すも何を話せばいいのか分からず、声が出てこない。 「と、まぁ、冗談は置いておいて、紗知先輩!今日暇ですか?」 じょ、冗談......には聞こえなかった。 「ひ、暇だけど......」 ゆっくりしようと思っていたので、予定は無い。 「紗知先輩、デートしましょう!」 「......」 満面の笑みを向けられて、いつの間にか顔の熱は引いていた。 「ーー嫌ですか?」 「い、嫌じゃない!」 明らかにしょんぼりした顔をしたので、咄嗟に答えてしまった。行くつもりなんて、なかったのに......。 「決まりですね!準備していきましょう!」 「ま、待って!行くのは良いけど1回家帰ってもいい?」 さすがに、着替えたいし、シャワーも浴びたい。 お酒の匂いも残っているし、さすがにこのままでは嫌だ。 「分かりました!じゃあ一緒に行きましょう!」 「......」 一緒にーー、てっきり、どこかで待ち合わせするのかと思っていた。まぁ、夏樹くんは楽しそうで満足してるし、別にいいか。 夏樹くんは余程楽しみなのか、10分程で支度を終わらせていた。 私服の夏樹くんーー、意外とかっこいい。 見とれてしまったけれど、きっとぶっ飛んだ事を言うに決まってるから、それを口には出さない。 「さぁ、行きましょう!!紗知先輩の家はどこですか?」 張り切って外に出た夏樹くんは、私を振り返る。 そう言われても、ここはどこだろう......。 見覚えのない建物ばかりで、今どこにいるのか分からないので、駅名を言った。 「それなら、2駅隣ですね!」 どうやらここは私の家から2駅先の所らしい。職場と反対だから来たことがなかった。
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