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「だ、ダメに決まってるでしょ!」
付き合ってもいない人とキスできるはずがない。
だけど、じっと見つめてくる瞳にドキドキする。
「あ、あの......」
「ん?」
「......」
耐えきれなくなって、声を出すも何を話せばいいのか分からず、声が出てこない。
「と、まぁ、冗談は置いておいて、紗知先輩!今日暇ですか?」
じょ、冗談......には聞こえなかった。
「ひ、暇だけど......」
ゆっくりしようと思っていたので、予定は無い。
「紗知先輩、デートしましょう!」
「......」
満面の笑みを向けられて、いつの間にか顔の熱は引いていた。
「ーー嫌ですか?」
「い、嫌じゃない!」
明らかにしょんぼりした顔をしたので、咄嗟に答えてしまった。行くつもりなんて、なかったのに......。
「決まりですね!準備していきましょう!」
「ま、待って!行くのは良いけど1回家帰ってもいい?」
さすがに、着替えたいし、シャワーも浴びたい。
お酒の匂いも残っているし、さすがにこのままでは嫌だ。
「分かりました!じゃあ一緒に行きましょう!」
「......」
一緒にーー、てっきり、どこかで待ち合わせするのかと思っていた。まぁ、夏樹くんは楽しそうで満足してるし、別にいいか。
夏樹くんは余程楽しみなのか、10分程で支度を終わらせていた。
私服の夏樹くんーー、意外とかっこいい。
見とれてしまったけれど、きっとぶっ飛んだ事を言うに決まってるから、それを口には出さない。
「さぁ、行きましょう!!紗知先輩の家はどこですか?」
張り切って外に出た夏樹くんは、私を振り返る。
そう言われても、ここはどこだろう......。
見覚えのない建物ばかりで、今どこにいるのか分からないので、駅名を言った。
「それなら、2駅隣ですね!」
どうやらここは私の家から2駅先の所らしい。職場と反対だから来たことがなかった。
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