3.可愛い天使

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夏樹くんの家は駅の近くだったので、直ぐに電車に乗ることが出来た。 「「......」」 お互いに無言のまま電車に揺られる。 5分くらいで最寄り駅に着いてしまった。意外と近くに住んでいるらしい。 「こっち」 改札を出て、慣れた道を歩く。 いつの間にか、夏樹くんは車道側に居て、私の隣を歩いていた。 「紗知先輩、いつもこの道歩いてるんですか?」 「そうだけど?」 「っ!危なすぎます!ちょっとは危機感持ってくださいよ......」 言われていることが分からない。だって、駅まではこの道が近いしーー。 「ここ、夜になったら真っ暗になりますよね?」 「うん。そりゃあ、夜だしいつも暗いよ?」 「はぁ......」 確かに、夜は真っ暗だ。ここは栄えている駅ではないし、街灯も少ない。暗くなるのは当たり前だ。 「紗知先輩、帰りは俺が送るので勝手に帰らないでくださいね。もちろん、遊びに行って帰りが遅くなる時も、1人になるなら連絡してください」 「なんで?」 別に暗いところが苦手って訳でもないし、子供じゃないんだから、1人でも帰れる。 「なんでもです。約束ですよ」 夏樹くんが念を押すように言ったところで、家に着いた。 「ここだよ」 ちょっとオシャレな見た目のアパート。共通の玄関の鍵を開けて、階段を上がる。3部屋あるうちの一番奥が私の部屋だ。 鍵を開けて中に入った。 「準備するから、ちょっと待っててくれる?」 外で待たせる訳にもいかないと思い、中に案内しようとした。 「いや......、俺はここで待ってます」 夏樹くんはなぜか、1歩も中に入ろうとはしない。 「でもーー」 ずっとここで待たせるのは......そう言いかけた時、夏樹くんが遮るように言った。 「紗知先輩、さすがに中に入ったら俺抑えきれないと思うんです。紗知先輩も、俺に襲われたくは無いですよね?」
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