3.可愛い天使

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「ーーあ、買い物に付き合ってもらってもいい?」 この前、バックが壊れてしまったのだ。 今は代用品を使っているけれど、使い勝手が悪い。 早めに欲しいと思っていたので、どこでもいいなら......と思って言ってみたけれど。 「もちろんです!何買いたいんですか?」 「バックが欲しくて......」 「それなら、ショッピングモール行きましょうか。あそこなら色んな店がありますし」 買い物で良いみたい。夏樹くんは、本当になんでも良かったんだなぁ......。 私はそんなことをしみじみと考えていた。 駅に着いて、今度は職場のある方に向かう電車に乗る。 「紗知先輩、ここ空いてますよ」 夏樹くんは、空いてる椅子をさして私を呼ぶ。レディーファーストーー紳士だね......。 「いいよ、夏樹くんが座ったら?」 「紗知先輩、つり革掴むの大変ですよね?俺なら持ってても疲れないので大丈夫です。だからーー」 確かに、私の身長じゃ届かなくはないけれど、ずっとつり革に捕まっていると腕が疲れてしまう。 「ありがとう」 ありがたく座らせて貰おう。そう思って座ると、私の前に夏樹くんが立つ。 やっぱり大きいなぁ。座っている私と立っている夏樹くんとの身長差は結構ある。見上げていると、首が痛くなりそうだ。 もちろん、私が立っていても身長差はあるのだけれど......。 「どうしたんですか?」 私が見ていたことに気づかれてしまった。 「背、高いなぁって思って」 「あぁ、俺180センチありますからね。紗知先輩は身長どれくらいなんですか?」 180センチ......それは、高いはずだよ。 「私は155センチ......」 「可愛いですね!」 「......っ!」 夏樹くんの笑顔が眩しい。可愛いと言われたのが、身長の事だとしても嬉しくなる。 ーー嬉しい......? 無意識のうちに、ドキドキと速くなる心臓の音。私にはこの気持ちが何なのか、まだ分からなかった。
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