3.可愛い天使

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*** ショッピングモールに着き、私は夏樹くんそっちのけで、色んな店を回っていた。 「これ可愛い~!」 「あ、でもこっちもいい!」 久しぶりのショッピングにテンションが上がってしまう。 既に5件の雑貨屋さんに入って、色々見ているけれど、まだ何も買っていない。 「紗知先輩、あの......買わないんですか?」 そう声をかけられて、夏樹くんの存在を思い出した。 「あ、夏樹くん、振り回してごめんね......」 「それはいいんですけど、俺も楽しいんで」 笑顔でそう言ってくれるなら、良かった。 「欲しいのはいくつかあったんだけど、その場で買っていたらキリがないから、一通り見てから、最後に本当に欲しいものだけを買おうと思って。 ......似たようなのがいっぱいあっても使わないしね」 「なるほど......」 そうは言ったけれど、1人で来ているわけじゃないから、さすがに振り回せないよね。 「夏樹くんは、どこか見たいお店ある?」 「んー、そうですね。 俺は、楽しそうな紗知先輩が見れれば満足なので、どこでもいいですよ」 「......」 聞いた私が間違っていた?さっき言っていた、“楽しい”は、私を見ていて楽しいって言ったの? 「そ、そうなんだ......、じゃあ、あそこのお店見てもいい?」 「もちろんです!」 夏樹くんの事はよく分からないけれど、今は気にしないでおこう。そう思い、私はその後もショッピングを楽しんだ。 「紗知先輩、そろそろ休憩しませんか?」 夏樹くんがそう言って指を指した先には、有名な珈琲ショップがあった。カフェも付いていて、一休みできる場所だ。そう言えば、朝ごはんもお昼ご飯も食べていない。 それを自覚したら、お腹が空いてきた。そう思ってしまうと、身体は逆らえない。 「ぐぅぅ......」
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