7.君のヒーロー

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夏樹くんは、私が離れたのが残念ーー、とでも言うように言った。いくらなんでも、もう一度抱きつくなんて、私にできるわけが無い。 「だ、大丈夫」 「紗知先輩、可愛かったのになぁ......うさぎみたい、いや、やっぱり天使だ」 夏樹くんは、ひとりで勝手に納得したらしい。天使って前も言ってきたけど、どこを見てそんなこと言うんだろう。普通の人間なのにーー。 「夏樹くん......?」 「よし、紗知先輩、帰りましょうか!」 戸惑っている私を置いて、夏樹くんは立ち上がった。夏樹くんが来てからも、結構時間が経っているはずだ。私も早く帰りたい。 立ち上がろうと力を入れた時、忘れていた痛みが来た。 「っ!」 「紗知先輩?」 普通に立ち上がろうとしたせいで、庇うのを忘れて力を入れてしまった。 私は立ち上がることが出来ず、その場に蹲る。 「怪我してるんですか?」 「......大丈夫」 「見せてください」 そのあとの夏樹くんは素早くて、あっという間に隠していた手をどかされた。 「っ、凄い腫れてるじゃないですか!早く言ってくださいよ」 放置しすぎたのか、パッと見で分かるほど私の右足首は腫れていた。 自覚した途端、痛みが酷くなってくる。さすがに、忘れてたとは言いにくい。 「紗知先輩、文句言わないでくださいね」 何が?と思った時には、既に私の身体が浮いていた。 「えっ、ちょっと、夏樹くん?」 「暴れると落ちちゃいますよ、絶対落としませんけど」 私は何故か、お姫様抱っこされていた。下ろしてもらおうと、身体を動かしても、ビクともしない。 「重いから、下ろして!」 「どこがですか。全然軽いので大丈夫です。それに、紗知先輩その足じゃ歩けないでしょ?」 そう言われるとそうなんだけどーー。
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