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1.裸んぼの雪だるま
今日が特別な一日になることを、幼い少年は目覚めるなり確信しました。
「雪だぁ!」
少年にとって生まれて初めての雪。
おっかさんはパジャマのまま出かけようとする少年の襟を掴んで戻し、ダウンを着せてマフラー、手袋、ニット帽もしてやります。
ポップコーンが弾けるように、少年は白銀の世界に飛び出していきました。
雪をかき集めて雪玉を二つ作り、大きい雪玉の上に小さい方を乗せました。
二つの小石を目に、Vの形をした枝を口に埋め込めば、雪だるまの完成です。
腕の代わりに二本の枝も挿してやりました。
「裸んぼの雪だるま。かわいそうだなぁ」
少年は身につけていたマフラーを雪だるまに巻き、手袋を枝に挿し、ニット帽を被せました。
すると……
「わぁ! どうして溶けちゃうの!?」
雪だるまは瞬く間に溶けていき、地面に小石とV字の笑顔だけが残りました。
少年の優しさは雪を溶かすほど温かかったのです。
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