27人が本棚に入れています
本棚に追加
入ってきたのは、さっきの部屋にいた白い髭のおじいさんと、中年のおばさんだった。
私は慌てて体を起こす。
「どうした?具合が悪いのか?」
「え?い、いえ、大丈夫です。」
「医師は必要ないか?」
「は、はい。いりません。」
「そうか、なら良かった。
しばらくの間だが、ゆっくりしなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
とは言ったものの…全然意味がわからないんですけど。
「今の人は?」
二人が立ち去ってから、私はメイドさんに訊ねた。
「宮廷魔道士の最高位であられるサーマリー様と、弟子のロザリー様です。」
(宮廷…魔道士…?)
占い師か預言者みたいな人のことなのかな?
メイドさんは、確か、サーマリー様が、私を鏡から呼び出したって言ってたよね?
つまりは、さっきのおじいさんが、私を呼び出したってこと?
(でも、呼び出すって…)
もしかして、私…やっぱり、人さらいにあったってこと?
眩しい光で私を眠らせて、蚤の市から私をこのアルシオン城に連れて来た!?
「ま、まさか、私…見世物小屋に売られたりしないよね!?」
「おかしなことを。そんなことはございません。」
メイドさんの言葉にホッとした。
「貴方様は生贄です。」
「え、ええっ!?」
最初のコメントを投稿しよう!