プリン

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 昨日君が出て行った。  土曜日の夕方、1人テレビをつけて思った。  本当、せいせいする。  冷たくて、大事な話も全然聞いてくれないし。  本当に、自分勝手。  別に怒ってない。  出て行ったこと、別に怒ってない。  冷たかったこと、別に怒ってない。  でも、何も言ってくれなかった。  一昨日、帰りが遅かったこと。  その前の日の喧嘩、私の何気ない言葉が君を傷つけてたこと。  ずっと、私の知らないところで抱え込んでたこと。  ごめん、気付けなかった。  君の部屋は、いつも散らかっていた。  どれだけ私が片付けてもすぐにまた散らかる。  君の部屋は、まだ散らかってる。  君の部屋のドアを開けると、君の匂いがする。  まるで、ただ出かけてるかのように。  もう戻ってこないなんて、考えられないくらいこの部屋は君でいっぱい。  昨日まで確かに君はここにいた。    ねぇ、涙が止まらない。  君の匂いに溢れたこの部屋は、涙が止まらない。  焦燥感でいっぱいで、会いたい気持ちでいっぱいで、、、、。  気付いたら君のベッドで寝てた。  起きたらもう昼で、空腹が酷くて、君が出てってから何も食べてないことに気付いた。  冷蔵庫を開けると、喧嘩をする前の日に君が買ってきてくれた3個入りのプリンが目に入った。  いつも2人で最後の1個をどっちが食べるか、争った。  じゃんけん、トランプ、ジェンガ、オセロ。  私の弱点を君は全て知っているから、いつも君が大差で勝つ。  涼しい顔をして、いつも冷たい目で勝利のプリンを食べる。  でも、私が本当に落ち込んでる時はわざと負けてくれる。  「ありがとう」って言うけど、「負けた人への嫌味?」なんて言って本当に冷たい。  そんなことを考えてプリンを食べたの。  こんなに多かった?  全然減らないの。  こんなに味薄かった?  君とだから美味しかったのかな。      本当に自分勝手。  私だけをこの空間に閉じ込めて、私だけ君とのことを思い出して泣いてるんだから。  君はすでに私なんか忘れてるかな。    君は本当に冷たい。  人の心を持ち合わせていないの?  あぁ、冷たい!  
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