僕が学校に行くことにした理由

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 「金曜日のアフリカ」。  このタイトルは被っている奴はいないだろう。やっぱりタイトルって大事だと思うんだ。印象に残らないとね。  もちろん内容も大事。笑いあり涙ありの現代ファンタジーだ。少年が旅の中で出会う人たちの交流を通して成長する物語だ。ちょっとした謎解きや二度と会えなくなる別れなんかもあったりして、最後まで飽きさせない展開になっている。  さぁ、受賞の連絡は何で来るのかな?  メール? 電話? イマドキならSNSで来たりもするのかな? 応募書類にアカウントを書くところもあったしね。  結果が出るのが楽しみで仕方ない!! *  待てど暮らせど、結果が知らされることはなかった。  連絡先の書き方を間違えていただろうか? それとも何かで既に発表されているのだろうか? もう一度、応募の要項を確かめてみることにした。 『12月上旬頃、弊社ホームページ上にて発表』  ああ、ホームページで発表されるのか、そういうことなんだね。  12月上旬? 今日は12月10日だし、もう発表されている頃だろう。    僕はパソコンを立ち上げ、応募した文学賞のホームページを開いた。 『一次選考通過作品発表』  というリンクを見つけた。ああ、これのことだなと思い僕は、そのリンクをクリックしてみた。  へぇ、34作品が通過しているのか。彼らがライバルってわけだね。ええと、僕の書いた「金曜日のアフリカ」は、と。  マウスカーソルを動かし、画面をスクロールさせていく。縦に長いページは見にくいななんてことを考えながら、マウスを動かす。  あれ?  ないよ?  僕の「金曜日のアフリカ」は?  ないよ?  これは何の間違いだ?  まさか落選したっていうのか?  抗議するぞ? 『選考に関するお問い合わせにつきましては一切、お答えできません』  バカな!  そんなバカな!  僕の作品が落ちたっていうのか?  僕の計画が早くも破綻したっていうのか?  信じられない!  僕はパソコンの前で頭を抱えて、首を横に振って叫んだ。しかし、これは夢ではないらしく、何一つ醒めるものはなかった。    
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