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やっぱりオオカミ健在?
4人は大通りのタクシー乗り場に向かうと立ち止まる。学がチラッと隣の悟を見ると頬は赤く腫れ上がり痛々しい。
「随分酷い顔だ。美人が台無し……だな?」
「嫌いに……なっちゃった?」
「まさか。そんなお前も不器用にしか人を愛せないお前も……。俺は……好きだ。もっと早くお前に伝えるべきだった」
悟は頬を赤らめて下を向く。
「あのぉーもしもし?2人で盛りあがってるとこ悪いんだけどさ?一応俺達後ろに居るんだけど?」
「が、学にぃがそんな臭いセリフをっ」
竜牙と類が顔を出す。
「……」
学は正面を向いたまま耳を赤くした。そんな学に悟も更に赤くなる。
「あー学にぃ、耳まで赤くなってるぅ」
「よっ、おふたりさん、あっついね」
学は堪らずウインカーを出し停車したタクシーの後部座席に悟を押し込むと自分も乗った。
「お前ら次のに乗れ」
「え、何でよ、学にぃ」
「……今日くらい……その……気を利かせろ」
【それって……】
悟は学のコートの袖で赤い顔を隠した。
「じゃ、ごゆっくりー」
そう言って乗り込もうとした類を竜牙が腕に抱きとめるとタクシーに手を振る。
「ねぇそれって……やっぱりそう言う事?ねぇってばぁ」
類の質問も虚しく、学と悟を乗せたタクシーが発進した。
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学は帰るなり悟を姫抱っこで部屋に連れていくとベッドへ寝かせた。
「今日はゆっくり体を休めろ。いいな?」
「学……」
甘えるように見つめる悟に応えるように悟の髪を撫でおでこにキスをすると学はベッドから立ち上がり部屋を出て行こうとする。
悟はベッドから起き上がり降りると学の背中に抱きついた。
「行かないで。僕から逃げ……ないで?」
「悟……」
学は悟の方を向き直すと見つめ合い更に深いキスをして悟の舌を甘く吸った。
悟は堪らず学の背中に手を回し今までの事を思い出す。
「学……好き。本当はもっと前から好き……だった」
「俺もお前が好きだ。いつの頃からか1保護者からお前を愛しいと思うようになっていた」
「抱いて?僕を抱いて……ほしい」
「だが体キツイんじゃないのか?無理するな」
「無理なんてしてない。……お願い。学に思い切り僕を愛してほしいんだ」
悟は学に甘えるように上目遣いでそう言った。
「俺は男は初めてでその……上手く出来るかどうか……」
「……うん。分かってる」
「とりあえずその前に風呂……沸かすか」
そう言う学に悟はフフっと笑い頷いた。
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「……ねぇ。なんかこっちの方向家じゃなくないか?」
「ンフフ」
竜牙はニマニマ笑っている。
類は先程運転手に耳打ちをしていた竜牙を思い出し、ジトっとした目で竜牙を見た。
タクシーは暫く走るととある建物に入っていき停車した。
「ちょっとぉ、ここラブホじゃんか!」
「いいからいいから」
そう言う竜牙の頭にはしっかりとエロオオカミの耳がピョコンと生えている。
「全然よくなーい」
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