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ここの展望ルームからの夜景が綺麗らしい、とかわざわざ調べて来てたから、そりゃ落ちるだろうけど、ここにいたってしゃーない。移動しねぇとな。
宵闇はスマホを取り出すと、何か検索し始める。
「宵、俺タバコ吸ってくるけど?」
「ん? ああ、俺も」
実家に車がある、って言ってたその車は、宵闇の親父さんの車だった。お前の車じゃねぇのかよ、って一瞬思ったけど、普段東京に住んでんだから当たり前だな。この車の中で勝手にタバコを吸うわけにはいかねぇ。
俺が車から出ると、宵闇も出て来て携帯灰皿を差し出してくれる。
揃ってタバコに火をつけて、一服する。かれこれ2時間くらい吸ってなかったから、肺に染み渡るわ。
外の風は、潮風っぽくて冷たい。完全に日も暮れてるし、空気が冷え込んで来てる。
宵闇はタバコをくわえたまま、まだスマホをいじってる。
「…あ、あった。この近くに公園がある。そこからも綺麗に見えるみたいだよ」
「そうか。じゃ、そこ行くか」
公園なら大丈夫だろう。流石に締め出しは喰らわねぇと思う。
宵闇は嬉しそうに頷く。どんだけ夜景デートしたかったんだ。でも、こいつが嬉しそうな顔してると、俺も嬉しい。つくづく可愛い笑顔だよ。猫の顎の下撫でてやった時みたいな笑顔だ。
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