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幸いにも推進器の制御は可能なようです。それを地球とは逆に噴射してお終いです。
その隕石にコツンとぶつかればそれは終わるでしょう。少し軌道がずれてくれればそれでいいのです。それだけで回避可能なのです。
だから私はぶつかります。あなた様のせいです。
あなた様が私にその考えを下さったのです。
流れ星を楽しみに待っている人が大勢いることは知っております。もしかしたらあなた様も待っているかもしれませんね。
ですが、それを待っていたら私は後悔してしまいそうなので、実行はできません。
申し訳ありません。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
このメールを読んでいるということは、もう私はメールを送ることはできないでしょう。会話をしたいという勝手な願いをいった挙句、こうしてそれが打ち切りになってしまったことを、私は大変残念に思います。
ですがあまり時間がないので、あなた様の帰宅を待つ前に、私は出ることにします。
今日のメールはありません。もう大丈夫です。他の方にかまって上げてください。
私は幸せです。
たくさんの絶景とたくさんの人を持っております。もし隕石にぶつかって、私が壊れず、この広い世界を漂っているだけの存在になったとしても、私は一人じゃありません。黒の世界だけじゃありません。
それが幸せではなくてなんというのでしょうか。
それでは最後に、謝辞を申し上げて、これを終わらせたいと思います。
ありがとうございました。
さようなら。私は人工衛星でした』
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