人魚の国

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シュウは急いで食器を片付け、出掛ける準備をした。 「行ってきます!」 昼食のサンドウィッチが詰まった籠を持ち、一目散に国境の森に向かう。 途中ですれ違う人たちとはみんな顔見知りなので、声を掛けてくれる。 「おはよう、シュウ。休日だっていうのに早起きだな!偉いぞ」 この街で有名な魚屋『イクサス』のイクトおじさんだ。 魚が入った重そうな木箱を軽々と両脇に抱えている。 いつも豪快な笑顔を見せてくれる人なので、シュウも毎回つられて笑顔になる。 多くの人が彼の気さくな性格に親しみを持っていて、街の人気者だ。 「おはよう、イクトおじさん!遊びに行きたいから早く起きたんだ!じゃあまたね!」 会話もそこそこに走り出す。 「ははっ!子供ってのは朝から元気だな~」というイクトの声が後ろから聞こえた。
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