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すると平らだった水面から人の手が飛び出してきた。
一瞬にして水が高く波打ち、シュウの顔はずぶ濡れになる。
「うわ!ミュウ、また水をかけたな〜!」
「もう〜!」と笑いながら、顔に残った水滴を手で拭う。
目の前に現れたのは1人の少女。
白に近いシルバーの髪に透き通る肌。
目は湖のような淡い水色だ。
もちろん彼女は人間ではない。
脚は薄い水色のウロコとヒレでできている。
そう、人魚だ。
シュウは彼女の鳴き声がミューと聞こえるのでミュウと呼んでいる。
「水をかけるのはやめてって言ったのに!」
シュウは不機嫌になって言う。
本当は全然怒ってないが、ちょっとだけミュウをからかいたくなった。
「ミュー!」
ミュウはまるで人の言葉を理解しているかのように、少し困った顔をした。
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