41人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
あらら。どうしたのかしらね? いったい。
ミーコとコーセーの様子が、特に、なんだかがっくりしてる感じのコーセーのことが気になりながらも。
ゆっくり顔を上げたスイのぴかぴかのお顔を、ぼんやりとアタシは眺めた。
オージサマって、何のことかわかんないけど。
きっと、いいものなのね。とっても。
だってなんだか、ふわーんってするもの。頭の中が。
ようやく気を取り直すと、
「……なかなか、悪くなかったわ。さっきの」
スイに向かってアタシは言った。
妙齢のお姉さん猫としての、威厳よ。威厳。
スイがアタシを見返して、
「――さっきのあれが王子様なら」
いたずらっぽく、くすっと笑う。
「君はお姫様だね。フーちゃん」
名残惜しそうにアタシの前足をコーセーの腕の上に戻したスイが、
「これからもよろしくね、お姫様」
アタシを見つめて、ふんわり微笑んだ。
「……仕方ないわね」
ちょっとまばたきして軽くあごを引くと、アタシはこたえる。
知ってるわ。「よろしく」っていうのは、あれよね。仲良しのことよね。
「これからも、ヨロシクしてあげるわ」
スイだけじゃなく、ミーコもコーセーも、あんたたちみんな。もちろん、ママさんとパパさん、それにシュージもね。
「あらー、仲良くお話してるのねー。翠君とフーちゃん」
そこで、弾んだ声でママさんが言って、まわりのみんながほわんと笑顔になった。
(うふふ、いい感じ)
みんながにこにこしてて、アタシは嬉しくなる。
猫って、そういう生き物……ううん、違うわね。
コーセーの腕の中で、アタシはぱたんとしっぽを振った。
――そういう猫なのよ。
アタシって。
【 秘密の怪盗ブルー・了 】
~☆★☆~
おまけの短編もお読みいただき、ありがとうございました!
改めまして、このあとは
完結編『怪盗ブルーは永遠に』https://estar.jp/novels/25778875へどうぞ!
⇒⇒⇒
最初のコメントを投稿しよう!