3. 夜の猫は遊びたい

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 あらら。どうしたのかしらね? いったい。   ミーコとコーセーの様子が、特に、なんだかがっくりしてる感じのコーセーのことが気になりながらも。  ゆっくり顔を上げたスイのぴかぴかのお顔を、ぼんやりとアタシは眺めた。  オージサマって、何のことかわかんないけど。  きっと、いいものなのね。とっても。  だってなんだか、ふわーんってするもの。頭の中が。  ようやく気を取り直すと、 「……なかなか、悪くなかったわ。さっきの」  スイに向かってアタシは言った。  妙齢のお姉さん猫としての、威厳よ。威厳。  スイがアタシを見返して、 「――さっきのあれが王子様なら」  いたずらっぽく、くすっと笑う。 「君はお姫様だね。フーちゃん」  名残惜しそうにアタシの前足をコーセーの腕の上に戻したスイが、 「これからもよろしくね、お姫様」  アタシを見つめて、ふんわり微笑んだ。 「……仕方ないわね」  ちょっとまばたきして軽くあごを引くと、アタシはこたえる。  知ってるわ。「よろしく」っていうのは、あれよね。仲良しのことよね。 「これからも、ヨロシクしてあげるわ」  スイだけじゃなく、ミーコもコーセーも、あんたたちみんな。もちろん、ママさんとパパさん、それにシュージもね。 「あらー、仲良くお話してるのねー。翠君とフーちゃん」  そこで、弾んだ声でママさんが言って、まわりのみんながほわんと笑顔になった。 (うふふ、いい感じ)  みんながにこにこしてて、アタシは嬉しくなる。  猫って、そういう生き物……ううん、違うわね。  コーセーの腕の中で、アタシはぱたんとしっぽを振った。  ――そういう猫なのよ。  アタシって。 【 秘密の怪盗ブルー・了 】 ~☆★☆~ おまけの短編もお読みいただき、ありがとうございました! 改めまして、このあとは 完結編『怪盗ブルーは永遠に』https://estar.jp/novels/25778875へどうぞ! ⇒⇒⇒
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