9 兄と妹

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 「そうは思いません。  父と母のしたことは(ゆる)されないことです。桐生さんには、なんの落ち度もありませんし、(おっしゃ)ったことは当然です」  素直に言うと、亮平は少し赤くなった。  「いや……あんただって何も悪くないだろ。親の問題になるから申し訳ないとは思ってる。  そんなのいらない、って言えればカッコ良かったんだろうけど……妹を大学に行かせたくてさ」  「妹……お母さまと今のお父さまとのお子さんですか」  幸奈の言葉に、亮平は苦い表情になった。  「ああ。離婚したけどな」  「え?」  驚く幸奈に、苦い表情のまま亮平は(うなづ)いた。  「俺が十歳の時に結婚したんだ。父親になりたいって。  最初は良かった。でも、妹が生まれて母親が忙しくなると、自分の子供に嫉妬して違う女に走ったんだ。  俺だけで良かったってさ。自分でなんでもできる年齢(とし)だから、面倒じゃないって。  逆だよな。でかい連れ子なんて面倒なだけだろ」
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