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初めて聞く言葉と意味に驚く幸奈たちを見ながら、亮平は小山家の弁護士へと向いた。
「そうですよね、弁護士さん」
顧問弁護士は動揺した表情であちこちを見た後、諦めたように頷いた。その瞬間、文子は、悲鳴のような声をリビングに響かせた。
「どうして、こんな人間に財産を盗まれるのよ!」
取り乱す母親は、何を言われても理解できそうにない。
「ママ、黙って!それ以上何も言わないで」
怒鳴る幸奈を、意外そうな視線で見てくる亮平へ言葉を向けた。
「すいません。今日は帰っていただけますか。
弁護士に連絡させます。その時に要望を仰ってください」
この場を収めようとする幸奈に、亮平は初めて感心した表情になった。
「分かった。連絡を待ってる」
言うと、彼は弁護士と一緒に出ていった。
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