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7 違う立場、同じ権利
二人が出た後のリビングは、遺言状公開の後とは思えない状態になった。文子は泣きながら亮平を罵って、親戚たちも小声で話している。
「弁護士。桐生さんが言ったことはなんですか」
周りの騒ぎを無視した幸奈の質問に、弁護士はバッグから手帳を出すと遺留分と書いた。
「遺言書で相続がないか、少ない場合に行使できる権利です。条件はありますけど、桐生氏が言ったとおりの割合です。
桐生氏は非嫡出子ですから、以前の相続割合は嫡出子の二分の一だったんですけど、現在は同額です」
「ひちゃくしゅつし?」
幸奈は首を傾げた。不思議そうな幸奈を見た弁護士は、さらに二つの単語を書いた。
「婚姻……結婚していない男女から誕生した子供です。結婚した男女間なら嫡出子になります。
法律が変わりまして、子供の相続割合に親の事情は無関係になりました」
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