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「そうは思いません。
父と母のしたことは赦されないことです。桐生さんには、なんの落ち度もありませんし、仰ったことは当然です」
素直に言うと、亮平は少し赤くなった。
「いや……あんただって何も悪くないだろ。親の問題になるから申し訳ないとは思ってる。
そんなのいらない、って言えればカッコ良かったんだろうけど……妹を大学に行かせたくてさ」
「妹……お母さまと今のお父さまとのお子さんですか」
幸奈の言葉に、亮平は苦い表情になった。
「ああ。離婚したけどな」
「え?」
驚く幸奈に、苦い表情のまま亮平は頷いた。
「俺が十歳の時に結婚したんだ。父親になりたいって。
最初は良かった。でも、妹が生まれて母親が忙しくなると、自分の子供に嫉妬して違う女に走ったんだ。
俺だけで良かったってさ。自分でなんでもできる年齢だから、面倒じゃないって。
逆だよな。でかい連れ子なんて面倒なだけだろ」
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