恋が成仏するまで

松本くん

　高校で好きになった松本くんは、一年生の時から仲が良かった。付き合っていると噂されることも時々あったけれど、私たちは正真正銘ただの友達で、その頃私は告白されて付き合いだした他校の彼氏がいたし、松本くんにも中学の時から付き合っている彼女がいた。

　けれど私がなんとなく付き合ってみたものの全然好きになれなかった彼氏に三ヶ月で振られたころ、松本くんも彼女と別れたと言っていて、二人で放課後愚痴を零しながら互いを慰め合った。私と松本くんじゃ付き合っていた時間が全然違うけれど、別れたてのもの同士、そこは気にしない。

　それでその時、今までただのクラスメイトの友達だった松本くんが妙に「男の子」に見えて、私は目が離せなくなった。

　男の子として松本くんが気になりだした。

　背は高くないけれど、運動部らしいガッチリとした身体つきで、手が大きくて、薄い唇がやけに印象的で、付き合っていた彼氏には感じなかったのに、キスしたいなあってぼんやり思った。

　それから二年生で一度クラスが離れても、バレンタインは毎年松本くんに友チョコと偽って他の子にはあげていない本気のチョコレートをあげたし、三年生でまた同じクラスになった時は、進路が似ているからと二人で一緒にオープンキャンパスに行こうと誘った。