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ユラシルに連れられてバズギーがやって来たのは年季の入った佇まいの武器屋で、ユラシルが片手で扉を押し開けて店内へ入る。
「ちーっすじいさん、元気してるか~?」
「久しぶりに顔を見せたのぉ、また冷やかしに来たか小僧」
「何を仰るか、客を連れてきたんだよ」
武器を棚に並べていた杖をつく白髪の老人、店主のゼック・カーリンはユラシルを見て悪態をつきながらもどこか嬉しそうにバズギーには見えた。
「客ってのはそっちの厳つい坊主か?……ん?お前さんローズエッタの息子じゃないか?」
「うっす、バズギーっす。親父を知ってんすか」
「もちろんじゃ、奴の武器はここで売った物でよくここに来とったからな。それにお前さんも知っとるよ、王前試合を見ておったし、何より小さい頃よくローズエッタに引っ付いておったじゃろ」
「そうなのか?」
「…記憶に無えけどなぁ」
「それくらい昔のことじゃからな。で?お前さんが武器を買いに来たとなると目当ては斧か?」
「そうっす」
「斧なら右の壁に並んどるよ、自由に見て構わん」
ゼックに言われ、バズギーは店内を眺めながらも斧が並ぶ所へ向かう。ユラシルはカウンターにもたれかかり、
「今思ったけど剣が多いんだなこの店」
「儂の店の売りは剣じゃからな。それでもある程度は揃っておるよ」
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