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「悪くはねえな。ただちっとばかし軽い、俺の好みの重量じゃねえよ」
「んー、切れ味と硬度は申し分無いんだろうが威力が見込めないとなると難しいか」
「なかなか繊細な坊主じゃな、斧使いは威力重視か使い勝手で選ぶからそこまで悩んだり自分に合う物を選ぼうとはせん。ハッハ、親父とそっくりじゃな」
「バズギーの親父の斧はどうしたんだ?」
「親父の墓に一緒に埋めたよ。さすがにあれを使う気にはなれなくてな」
『最優』の斧を戻しまた別の斧に手をかけるバズギーを見つめ、これは時間がかかるなと判断したユラシル。その時ふとユラシルの目に止まったのはカウンターに置かれていた一本の剣だった。
「じいさん、あの剣は売り物じゃねーのか?」
「ん?ああ、それか……どうするか迷っとるんじゃよ。入荷を勧められた時はよかったんじゃが、なかなかに癖のある剣でのぉ」
「癖って?」
「その剣は『異彩』の剣なんじゃよ。儂に勧めた商人からそう聞いとる」
「マジか、『異彩』って結構価値あるじゃん。なんで迷うんだ?相当高値で売れるだろ」
「そうなんじゃが、どうも本当に『異彩』の剣なのかも怪しいんじゃ。自然現象を引き起こす自然石で作られた剣なのは間違いないが、儂が持っても何も起きんのじゃよ。商人が使って見せてくれたが商人自身よくわかっとらん様子でな」
「おいおい騙されてんじゃねーのかよそれ」
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