第1話 試行錯誤で悪戦苦闘

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「長い付き合いの商人じゃからそれは無いと言い切れる。自然石の効果が出る条件か何かがあるとは思うんじゃが儂には見当もつかん。小僧、お前さんはわかるか?」 「ちょっと見せてもらうぞ~」 ユラシルはカウンターに置かれている剣を掴む。手に持った感覚は普通の剣と変わらないが、重要なのは材料として打たれた刃だ。 鞘から引き抜いて刃を見る。うっすらと黄色い波紋が浮かぶ刃をユラシルはじっと観察してから、 「『異彩』なのは間違いないな」 「そうか。じゃが何故そう思った?」 「自然石は影響を受けた環境、自然現象のなんらかの特性を持ってるからな。こいつは微弱な静電気を帯びてるから多分雷にでも打たれ続けたか、磁場の強い場所にあった石を使ってんだろうぜ」 「ほう、さすがの知識じゃな。『探索者』になりたいと言うだけはあるの」 「へへ~。それと自然石の力の発動条件はかなり限定的なもんなんだよ、ただ振っただけじゃ何も起きねえ」 「やはり条件があるのか」 「バズギーちゃーん、ちょっとこの剣持ってくんね?」 「あん?」 斧選びを中断させられて呼ばれたバズギーはユラシルから剣を受け取り、珍しい刃を見ながらも眉を寄せる。 「俺ぁ剣は合わねえぞ?剣術も学んでねえし」 「別にそれを勧めるわけじゃねーよ。その剣を力いっぱい握ってみてくれ」 「?」
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