第6話 唆された自然の脅威

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涙と鼻水を溢れさせて抱き付いてきたシェリムの頭を撫でるユラシル。レビックとバズギーはユラシルが生きていたことに心から安堵し、 「ほらやっぱり死んでなかった!こいつが簡単に死ぬ奴じゃないのは知ってたんだから!」 唯一生存を疑わなかったサラが胸を張って高らかに言った。けどサラの目には涙が浮かんでいて、それをユラシルはバッチリ目撃する。 「心配させてたか?しゃーねえな、ほれ来いサラ。お前も抱き締めてやるから」 「あ………いっ、いらないわよ!」 突っけんどんな態度を取るサラにユラシルは笑い、こちらへ駆け寄ってきた二人の男子に気づく。ニックとジバーシだ。 「よかった、生きていたんだなユラシルくん」 「ビビらせんなよなぁまったくよ~」 「ハッハッハ、すまんすまん。死んだフリが成功したおかげで俺も助かったんだよ。そういや、ミョンシーの奴いなくないか?」 「ああ、彼女ならまだ戻ってきていない。召集があって我々はすぐに戻ってきたんだが、どうやら彼女はかなり遠くまで行っているようだ」 「何しに?」 「それはもちろん──」 「ハァ~ッ…ハァ~ッ…」 と、ここで話に出ていたミョンシーが帰ってきた。息を切らして汗だく。気品溢れる佇まいはどこへやらといった感じで現れたミョンシーはユラシルの顔を見るや、 「あなたっ!!よくもわたくしに押し付けましたわね!?支払いどころか足りなかったから雑用までさせられたんですのよ!?このわたくしが!!皿洗いですのよ!!?」
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