第6話 唆された自然の脅威

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「ただいま戻りました、バリメス様」 「どうだった?」 「『ゲラブ鉱石』は手に入りました。しかし二つほど報告があります」 「聞こう」 「『完全』の改造人間、マリーラが裏切りました。生きていたユラシル・リーバックの仲間になったようです」 「死んだんじゃなかったのか?」 「何かしらの方法でマリーラを欺いていたのかと。そしてもう一つはユラシル・リーバック、彼が『白き魔神』で間違いないと思われます」 「………。まさかとは思っていた。だが、そうか。マリーラを欺き生き長らえていたのなら十分考えられるか」 「マリーラとの戦闘を見ていましたが、彼は強いです。マリーラに肉薄する格闘戦、さらに本来の彼は剣を使うらしく、ひょっとしたら、その強さはマリーラをも凌ぐかもしれません」 「マリーラはお前でも苦戦する。そのマリーラ以上の強さがあると見たのなら、奴が我々の野望を阻む『白き魔神』ということなんだろうな。あの歳にしては思考が歪で、それでありながら完成されていた。"予言にあった未来から来た破格の強者"、それが奴と考えていいだろう」 「いかがなさいますか?」 「奴が『白き魔神』ならば消す以外に選択肢はない……が、迂闊に動いてこちらの動向に勘づかれると厄介になる。今は警戒だけして放置でいい」
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