第6話 唆された自然の脅威

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「承知しました。……それで、事の運びの方は?」 「『完成』どもを総出で向かわせ、その大半が殺された。やはりあれくらいの化物ともなると規格外、人間の領域にしかいない奴らでは歯が立たなかったようだ。マリーラに加え『完成』どもも失っては戦力の低下が痛いが、うまく運んでいる」 「というと、成功したんですね?」 「ああ、生き残りがなんとか持ち出せた。これで奴も動かざるを得ない………ちょうど見えてきたな」 「…………なんと……噂には聞いていましたが、実際に目にして見ると驚きしかありません…」 視界に映る水平線。そこにゆっくりと現れる巨大な影は海面を破り、止まることなく上昇を続け宙へ浮かんだ。 島一つが浮かぶような光景に黒装束の男が息を飲んでしまう。傍らの男は腕を組んだままそれを見据え、 「世界に数体しかいないとされ、観測自体が奇跡とされた生物の頂点───幻獣、その一体をうまく誘い出せた」 「素晴らしい………では、予定通りに?」 「必ず奴は餌に食い付き追いかける。その先はエマリエーカ王国だ。『赤熱の女神』と『ファイブナイト』二人が不在の今こそが王国に致命傷を与える絶好の機会」 「………」 「いよいよだ……想定から随分と外れてしまったが、俺がエマリエーカの頂点に立ち国王になる時は近い。『白き魔神』がどう動くのかが見物だな」 諸悪の根源である一人の男は年甲斐も無く瞳を煌めかせていた。 夢にまで見た王座、それがもうじき手に入ることを待ち遠しく思い、戦力の低下などと言っていながら一切気にもせずに、男は言う。 「───やがて世界は俺の前に跪く。俺の悲願が叶う日はすぐそこだ」  究極リベンジタイム 【紺碧の完全】 -完-  Next-Time 【白黒の無欠】
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