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ブルアンはフレイング・デッチマン号でのグリンドーの凄まじい戦いぶりを見て───少し彼に怖気づいてしまった部分もあったが───それでも、自分に寄せる彼の優しさが嬉しかった。
そんな三人のところに船長のパプラが静かに歩み寄ってきた。
彼女は───自分を助ける為に犠牲となった機関士レッドンのことを───まだ吹っ切れない気持ちでいたのだ。
「グリンドー・・・オレージナ・・・」
パプラが後方から呼びかけたので、三人は後ろを振り向いた。
「すまない・・・私のせいで、君たちの仲間レッドンを死なせてしまって・・・」
パプラは二人に頭を下げた。
「パプラ船長!」
グリンドーはやや微笑みも交えて、がっしりとした優しい口調で話し始めた。
「アンタは何も悪くないサ、強いて言うなら、あのニセの裏切り計画を立てた首謀者・・・アッシに一番責任がありますゼ・・・レッドンのヤツに謝らなければいけないのは・・・このアッシでサ」
「グリンドー・・・」
パプラは眉間にしわを寄せ、目にうっすらと涙を浮かべ悲しげに料理番グリンドーを見た。
「・・・だけど、ヤツは海の男・・・元海賊のレッドンでサァ!・・・戦いの中で死ぬことも覚悟の上だったと思いますゼ?・・・なんといっても、最後は、憧れの女、パプラ船長を守って、その腕の中でくたばったんだ・・・ヤツも本望でしょう」
グリンドーはそう言うと、傍らにいるオレージナに目をやった。
すると、今度はオレージナがパプラに話かける。
「そう、パプラ船長・・・グリンドーの言う通り・・・アタシらは今じゃカタギだけど、海賊だった頃の気持ちは・・・ずっと体に染みついて離れないのサ・・・レッドンも海の男・・・アタシだって海の女・・・いつ死んでも悔いが残らないように、毎日を・・・楽しくやるんだヨ!」
そう言ってオレージナはパプラに笑顔を見せた。
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