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ブルアンの言葉にケルガは少しブルアンの方に向き直り、
「・・・そうなのかな・・・皆そう思ってくれるのかな?・・・」
ケルガがそこまで答えたとき───船長のパプラが彼らのそばに寄ってきた。
「ケルガ・・・そしてレンゴンもそうだが・・・」
パプラはケルガからちょっと間を空けて隣にいるレンゴンにも目を向けた。
「昨日も言ったようにこれからこの船の船員としてしっかりと働いてくれるなら・・・もう敵ではなく仲間の船員として迎えよう・・・その働きによっては報酬も与える」
パプラ船長は長く美しい銀髪をわずかに吹く風にそよがせながらそう言った。
「わかりました・・・パプラ船長・・・こんな状況ですから・・・あなたの言うことに従います」
ケルガがそう答えると、レンゴンも続いた。
「あ、ああ! オレもパプラ船長に従うよ!」
「そうか・・・二人とも頼んだぞ」
パプラがわずかに微笑みながらそう答えると───その背後から料理番グリンドーが話かけてきた。
「まずは・・・二人の処遇が決まったようで・・・良かったですナ!」
彼はあっさりとした言葉で話しをまとめにかかったが、実のところ───昨晩、パプラ船長やフェルト助役と直談判での話し合いを行い、ケルガ達の処遇について彼らを説き伏せたのはグリンドーだったのである。
そして───実は、ケルガはその様子を陰から聞いていたのだ。
(グリンドー・・・この男は・・・兄の最期の遺言の言葉を守ってくれた・・・)
ケルガは密かにグリンドーを信頼できる男だと位置付け始めていた。
「さて、早速ですがネ? ブルアン坊ちゃん」
グリンドーの口調はいつの間にか、フレイング・デッチマン号での戦いの前のいつもの調子に戻っていた。
「アッシ達とブベールの島へ上陸しませんかネ?」
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