第一節 海の中の島 その3

1/3

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ

第一節 海の中の島 その3

 ブベールの島への上陸メンバーは、料理番グリンドー、航海士オレージナ、ブルアン少年・・・そして何と、かつての敵、そして今は仲間のケルガが名乗りを上げたのであった─── 「大丈夫なのか? ケルガ?」  グリンドーの問いかけにケルガは毅然として答える。 「ケルーベ兄さんが夢にまで見た宝の島・・・アタシだって一番乗りしたいヨ!」 「そうか・・・そうこなくっちゃナ!」  やや陽気にグリンドーは答える。  走砂艇ドマーロに留守番のパプラ船長、ブラーウ船医、フェルト助役、人造娼婦(オートプロスティテュート)のヴェルデ、そして尻尾が生えているレンゴンたちが船上から見守る中、グリンドーとブルアンのペア、オレージナとケルガのペアの2隻のホバークラフトはブベールの島へと発進した。  次第に赤く染まっていくやや静かな海面をホバークラフトはスムーズに進み、やがてブベールの島の岩礁にたどり着いた。  まずグリンドーが島の岩礁に飛び移り、続いてオレージナが飛び移るが───ちょっとバランスを崩し、よろけかけたところをグリンドーに引っ張り上げられた。  まだ、両足のミトコンドリア葉緑体電気義足が完璧な状態ではなかったのだ。 「ありがと! グリンドー!」  オレージナは軽く舌を出した。  ブルアンとケルガがそれぞれのホバークラフトからアンカー付きロープを投げると、グリンドーとオレージナがそれを受け取り、ホバーを仮固定すると、ブルアンとケルガは身軽に岩礁に飛び乗った。  その後、グリンドーは左手のミトコンドリア葉緑体電気義手と生身だが腕力のある右手を合わせた強力パワーで、彼のホバークラフトと、続けてオレージナのホバーを岩礁の上に引き上げた。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加