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エピローグ
───その後、地上、いや海上に残された者達はどうしたか───?
宇宙船の外殻を保護していたプラチナの薄い殻は、ブベール島に上陸したグリンドー達によって全て回収され、ブリッジはボロボロであるものの、船自体は健在のブラックラフト号に全て積み込まれた。
プラチナの宝は、当初の契約通り、走砂艇ドマーロを全損した場合には、それにかかる費用の三分の一を保険料も含めて充てることとなっていたが、プラチナの量からすると十分に事足りた。
さらに、町への財政の補填を行っても、お釣りが来るくらいの額であり、その補填額の十二分の一はフェルト助役の特別報酬となった。
また、船長の報酬は全体の六分の一であったが、残りの全体の二分の一は、乗組員の人数の増減もあり、結局、料理番グリンドー、航海士オレージナ、船医ブラーウ、ブルアン少年の取り分、亡くなったレッドンの分で、八分の一ずつ、しかし、今回のミッションに多大の貢献があった人造人間のヴェルデと人造海豚のジェイクに二人合わせて八分の一、そして、途中から仲間に加わった元海賊のケルガの分と、レンゴンにはそれぞれ十六分の一ずつが与えられることとなったのである。
そして───最後の八分の一は、ケルガの兄であり、乗組員皆を助けて最後は爆死したケルーベが故郷に残してきた妻と一人息子に与えられることとなった───ボロボロとなったブラックラフト号建造の借金がまだ少し残っており、その債務者が船長のケルーベだったためである。
****** 後日談として───
船長のパプラは、自身の護衛も兼ねて海賊職を失ったレンゴンを引き取り、故郷に帰って没落しかけていた自身のシルバータス家(元エメラーレダ帝国の王族の末裔である貴族)を建て直すこととしたが、その道中で、亡くなった機関士レッドンの実家に立ち寄り、彼の母親とレッドンの養子の息子に宝の分け前を渡し、レッドンの最後について語ったとのことである。
また、ブラーウ医師は、故郷のボーリボード町の自宅兼医院に戻ると、航海の途中で立ち寄った港町で作ってもらった裏がプラチナで表が金とダイヤモンドの指輪を医院の助手のノーナに渡し、プロポーズしたのである。
ノーナは大人しい女性であったが、長年の自分の思いが叶った嬉しさもあり、静かに頷いてブラーウの求婚を受けたのであった。
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