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引き上げられたホバークラフトはロープについているアンカーで大きな岩に繋がれて固定された。
(咆哮岩礁のときのような恐ろしい海洋生物がいなきゃいいけど・・・)
ブルアンは心のうちでふと不安に思ってしまう───
「なーに、ブルアン坊ちゃん! ここらへんの海域には咆哮岩礁のような恐ろしい生物はいないはずですゼ! なにしろ咆哮岩礁の流砂潮流の海域は特別な生態系の場所なんでネ?」
恐ろしくカンのいいグリンドーは、わずかに青ざめているブルアンの顔を見て少し陽気にそう言ったのだが・・・そのすぐあとに、眉間にしわを寄せると───少し声をひそめるように言葉を続けた。
「それでだ・・・ブルアン坊ちゃん・・・このブベールの島の中に入るには、黒死海古文書には何と書いてあったンですかネ?」
記憶力の良いブルアンは黒死海古文書を訳した一節をほとんどソラで言えるようになっていた。
「(輪の島)ドーナツ形の島の頂上(頂き)にあるしゃれこうべ岩(しゃれこうべ)に語りかければ、(地中)地下のトンネル(道)に至る道が見つかる・・・というように訳したけど・・・この岩場が島の頂上と考えていいのかな?」
「それは、たぶん間違いないですゼ! 坊ちゃん! この岩場に接近する1kmほど手前で走砂艇ドマーロの開口合成ソナーが、海底に円弧の山の一部を捉えてましたからネ!」
「そうなんだ! じゃあ半径1kmの円形の山の中央にこの岩礁があるということは・・・ここがドーナツ形の島の頂上と言える訳だね!」
「そうです! さすが坊ちゃん!」
グリンドーはニンマリとした後に頭をキョロキョロと動かす。
「で、しゃれこうべ岩というのは、どこなんですかネ?」
「そうだね・・・そういう岩は・・・?」
ブルアンもキョロキョロと辺りを見回し、つられてオレージナとケルガも辺りを見る。
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