MPD2100

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会場を見渡してみた。手錠で繋がれた黒服たちが一列になって連行されている。 ほんの一瞬だった。メテオの姿が浮かび上がった。メテオはすぐに姿を消した。再び姿を現した。すぐに姿を消す。 光学迷彩だ。生体エナジーの消費を抑えるために連続使用を避けている。 「岸田」 手招きして呼び寄せた。 「メテオは光学迷彩を使ってるぞ」 「重犯罪だ」 特捜などの一部の警官を除けば光学迷彩装置の使用は禁じられている。 「俺の目線を追え」 俺はメテオがいるはずの辺りを見つめた。一瞬、メテオの姿が浮かび上がった。 「いますね」 「メテオを倒す。奴は危険だ。野には放てない」 光学迷彩装置を作動。透明化する。 メテオの姿が階段に見え隠れする。メテオは階段を上がっている。透明化のまま、俺はメテオの後を追った。 階段を上がりきった。リンガの出入り口は完全に封鎖されている。メテオの歯軋りが聞こえる。 「メテオ。諦めて投降しろ」 メテオが撃ってきた。回避。 防火設備をハッキング――意図的に誤作動を誘発する。人間の頭脳への侵入に比べれば遥かに容易い。 跳躍。機銃弾を回避。 火災報知器が鳴った。スプリンクラーが作動。水が大量に降り注ぐ。 着地。生体エナジーが限界だ。光学迷彩が解ける。 五連装機銃弾が襲いかかる。 強化人工筋肉作動――跳躍。 見えた。入口近く。透明人間が水滴を弾き飛ばしている。たとえ光学的に透明化しても、身体が水を弾く様子だけは誤魔化せない。 戦闘用強化義眼の動体視力を最大にする。空を舞う水滴が止まって見える。 撃ってくる。五連装機銃。弾道が鮮明に見える。 弾道を避ける。引き金を引く。透明化したメテオの顔面を9㎜パラベラム弾が貫いた。 メテオの光学迷彩が効果を失ってゆく。 着地。足下にはメテオが横たわっている。 「仕留めましたね」 岸田が駆け寄る。 「手ごわい奴だった」 爪先でメテオを突いて、絶命したのを確かめる。 メテオの右手から何かが転がり落ちた。円柱形の物体――ステルス爆弾。金属探知機はおろかX線でさえもその存在を探知出来ない。 爆弾のカウンターが四桁の数字を刻んでいた。 0003、 0002、 0001、 0000。 「クソっ」 爆発から身を守る(すべ)はなかった。 (了)
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